内容証明は送るだけでは意味がない?

よく内容証明を送りたいという相談を受けることがあります。特に不倫の相手方に内容証明を送って慰謝料を請求したいという相談が多いです。相手方に内容証明を送れば、びっくりしてお金を払ってくるのではないかということを期待して、銀行口座などを明記したうえで「○日までにご入金ください」と送るのが普通ですが、実は、内容証明を送っただけで、お金を払ってくるケースはほぼありません。

また、内容証明には、ご連絡くださいという内容を送りますが、これに対して返事が来たケースは3件に1件ぐらいです。

基本的には、弁護士が依頼を受けた事案で内容証明を送る場合は①時効が間近でこれを止める必要がある場合②相手方が電話に出ない場合などで連絡がつかない場合、③相手方が反論する内容が想定されている場合、④請求する金額がかなり細かく、口頭で伝えるだけでは不十分な場合などです。

そして、通常内容証明は送っただけでは、まず相手方は支払ってきませんから、その後に相手方に連絡して交渉するなり裁判にする必要があります。

行政書士などで、内容証明を送る事だけを離婚の主な業務に掲げている人もいますが、内容証明だけではほとんど実効性はなく、また、その後に相手方と交渉することは行政書士はできません。また司法書士の場合、140万円までの交渉となっていますが、不倫の慰謝料の相場は大体150万円から200万円であることを考えると、弁護士より依頼者のためにとれる行動は制限されていきます。200万円程度の相場の慰謝料を請求したい場合や、逆に弁護士から慰謝料請求の内容証明を送られた場合には、弁護士にまず相談だけでもすることをお勧めします。