調停段階から弁護士を雇うメリットは、第一に、安心感が得られるということと、第二に、離婚条件の交渉において、有利になるということにあります。
また、第三に、裁判所と足並みをそろえて、早期に紛争を解決することができるということもあります。

1 安心感と手続の代理

まず、第一の点については、申立の準備や手続きなどを任せることができるということがあります。煩雑な調停申立手続きも弁護士に頼むことで安心して調停に臨むことができます。

また、弁護士が毎回調停に立会い、調停室に一緒に入ることができるので、調停委員とのやり取りで不明なところなどがあれば、いつでも聞くことができるなどの安心感を得ることができます。

また、体調が不良である場合や、法律的な論点について裁判官から難しい指摘がある場合に、弁護士だけが調停室に入って、裁判官や調停員と協議をして、あなたにとって有利な方法を選択することができます。

なお、弁護士の資格を持たない知人であるとか、親族、行政書士、司法書士は基本的には調停の代理人となる事はできず、一緒に調停室に入ることはできません。

2 法律の専門家による有利な交渉

第二の点については、弁護士が個別の事案によって、対応を検討し、また、主張や立証を準備することにより、交渉において有利になります。

例えば、財産分与について財産隠しのおそれがある場合には、調停段階から審判前の保全処分を利用するなど、早期に依頼することで早めに対応することができます。

あるいは、どのような場合に親権を得る見込みがあるか、慰謝料はどのような証拠があれば、どのような場合に請求できるのか、養育費はどのような基準で決まり、どのようにして主張すればよいのか等々、専門知識を踏まえて対応することにより、不本意な条件で離婚に応じざるをえないという事態を防ぐことができます。

3 裁判所と足並みを揃えた早期の紛争解決。

さらに、一般の方が調停手続きを経験することは人生に一度あるかないかですが、経験豊富な弁護士は調停手続きを年に何度も行っています。そのため、手続きの流れ全体を把握し、また、調停員、裁判所に受け入れられやすい相場を知っており、この相場に基づいて、早期にかつ有利に調停を進めることが可能です。

調停において、例えば、慰謝料を1000万円とするなど一般相場より高額な慰謝料を請求したり、面会交流を調停において実際に運用されている月2~4回を超えて、例えば連日の面会を求めたりすると、調停手続きは長引き、また調停委員さんの協力を得て相手方を説得するということが難しくなります。

調停において相場を知って、これを提案するということは、早期の紛争解決、裁判所を味方につけるという点で大きなメリットとなります。

弁護士が調停において味方につけば、かかる相場を念頭におきつつ依頼者にとって有利な調停をすすめ、かつ早期に紛争を解決できます。ただし、これができるのは、取り扱い件数が豊富な弁護士だけです。