⑴面会交流は権利なのか

面会交流については、これが、子どもの権利であるとか、自然権であるとか、親権に附帯するものであるという実体的権利説が主張されていましたが、最決平12・5・1日の調査官解説に「面接交流の内容は監護者の監護教育内容と調和する方式と形式において決定されるべきものであり、面接交流と言われているものは、面接交流を求める請求権というよりも、子の監護のための適正な措置を求める権利である」(手続的請求権)と解されるようになりました。

祖父母や親権者以外の実父、里親などに面会交流の申立てが認められるのかという点についてはこれを肯定的に解するのが近時の扱いです。

⑵面会交流の許否の判断基準

子の面会交流について、両親の争いが激化すると、家庭裁判所の調査官により報告書などが作成され、一定の意見が出されます。

面会交流を実体的権利と考えると、信義則に反したり権利濫用になる場合にのみ制限されると解されますが、実務的には、双方当事者の様々な事情を比較考量してこれを決めるとされています(比較基準説)。

これまでの子の監護の状況、子の心身の状況、年齢、意思、面会交流強行による子への影響、監護者や協力者の意思と意見、双方の協力可能性や信頼御程度、双方の居住地の遠近の程度、申立の動機・目的、離婚紛争中か否か、暴力性や虐待性との有無と程度、新家庭形成の有無とその強固性の程度、婚姻費用や養育費の支払状況などを考慮するとされています。

⑶面会交流が認められなかった事例

①子が学齢期以上になっていて明確に面会交流を拒否している場合(14歳の子どもについて上田支部審判平成11年11月11日)

②暴力・子の奪取などの蓋然性が高い場合

③覚せい剤常用など反社会性が強い場合

④忠誠心の葛藤が生じやすい場合(浦和家審判昭和56.9.16)

⑤父母間の対立激化による監護親の強固な反対(横浜家相模原支審平18.3.9)

⑥父母間の暴力dv(東京家審平14.5.21)

⑦夫婦間の仕返しなど多目的(東京高決昭60.6.27)

⑷ 判断基準(比較基準説)

東京家審平19.2.26⇒面会交流の可否は「面会交流を認めることが未成年者の福祉に反するか否かという観点から判断されるべき」⇒未成年者の福祉に反している事情は認められないとして面会交流の実施を命じた。⇒これに対し、抗告審「面会交流が現実的に子の福祉に合致するか」⇒「未成年者らに対して相手方に対する不信感に伴う強いストレスを生じさせることになるばかりか、未成年者らは父親である相手方と母親である抗告人との間の複雑な忠誠葛藤の場面にさらすことになるのであり、その結果、未成年者らの心情の安定を大きく害するなど、その福祉を害する恐れが高いものといわざるを得ない」として、原審を取消て、面会交流の申立てを却下(東京高決19.8.22)しました。

このように、原則必ず面会交流が認められるというわけではなく、一定の場合には、面会交流を裁判所が認めない場合もあります。